「ゾンビ道場」のこと

83年生まれのイラストレーター、Tokin(トキン)さんに送ってもらったフリーペーパー「ゾンビ道場」の最新号とバックナンバーを読む。仕事を終えた、午前2時。
双極性障害と、解離性障害をもった、イラストレーターの女の子の、手書きによるフリーペーパー。

ゾンビ道場入手方法について

「生きるスキルを上げていく努力してる自分をアピールしたいから書いたようなものです」と、フリーペーパーづくりを「自己顕示欲」というコトバで言い表しているのが、いいなと思った。なんか、いいなと思った。
いや、それだけじゃなくて、内容もすごくおもしろい。
腹抱えて笑ったり、涙するような内容ではないけれど、「わかるわかる」とか「がんばってるなあ」と共感しながら読める。
障害に起因する波乱に満ちた体験記も、赤裸々に描かれている。
・・・「波乱に満ちた体験記」なんて、つまらない言いかたをしてしまった・・・。
そんなのは、本や映画やテレビでも、どこにでも転がっているもので、そのことじたいに、とりたてて価値はない。
そうじゃなくて、その「体験記」の描かれかたの「赤裸々さ」というのが、彼女が言うところの、生きるための「自己顕示欲」に他ならなくて、それがほんとうにあふれだすように、手書きで表現されているのが、とてもいい。
たぶん、この人じたいのおもしろさというか、魅力なんだろうなと思う。身体からあふれだすようなものがないと、表現なんてできないんだな。
とにかく、フリーペーパー「ゾンビ道場」、おもしろい。いい。
 
僕は、おもしろいと思ったり、いいと思ったものを、「おもしろい」とか「いい」とかの言葉でしか表現できなくて、映画や本を他人に薦めたくても、「すげえおもしろいんだよ」「なにがおもしろいの?」「いや、とにかくおもしろいの」と、頭の悪い子供みたいになってしまう。
「なにが?」とか訊かないで、読めばおもしろいかどうかわかるんだからさあ、読めばいいじゃん、ってことだ。