記録映画について

仕事をはやく切りあげて、東京大学情報学環の丹羽研究室が主催する、記録映画アーカイブ・プロジェクト、第7回ミニワークショップに参加。 「満洲の旅――ホームムービーから観光映画まで」と題して、満洲への旅を記録した観光映画など、5つのフィルムの上映と…

アナグラムで思いだしたこと

人の名前をアナグラムにして遊んでいたら、昔のことを思いだした。大学2年生で、ソシュール言語学を勉強した。おもしろかったから、いろいろ本を読んだ。さらに興味をもったのが、アナグラムだった。ソシュールは、あれほど体系的に言語を分析しているにもか…

僕を救ったプリマドンナ

仕事中に、エルトン・ジョンがちらちらと頭をよぎって、やがて、Captain FantasticのSomeone Saved My Life Tonightのメロディが頭にこびりついて、離れなくなる。 邦題は、「僕を救ったプリマドンナ」。名曲。 キャプテンファンタスティックは、確か、1975…

これは僕のつくり話なのだけれど

これは僕のつくり話なのだけれど、ひとりの男がいる。 恋人ではない女の子とデートの約束があって、ライブハウスのチケットは男がもっている。当日、ライブハウスの開場30分前に、ライブハウス前で待ち合わせをする。 ところが、女の子は現れない。男は女の…

「英語力」とは何か

(扇田明彦)――向こう(ロンドン)で何回もワークショップを重ね、配役を決めて、しかも英語で野田さんが演出して自分自身も英語で演じる訳ですよね。今までの日本の演劇人はそんなことはしてこなかったと思うのですが、やはり演劇システムの違いもあります…

MUSASINO-1(1957)

奥さんと子供たちが出かけてしまい、インフルエンザ明けなので僕は連れて行ってもらえず、留守番。 インフルエンザから回復するには、相当に体力を使っているらしく、4キロほど体重が落ちている。造血機能が疲れていて、普段ですら貧血気味なのに、輪をかけ…

紙の匂いから

朝起きて、ほぼ平熱。午前中、クリニック。インフルエンザ、完治。喉が腫れていて、炎症止めの薬が処方される。 それでも、体調はいいので、車で三浦半島を回ってみる。車中、先日買った、ムーンライダーズ「Live at FM TOKYO HALL 1986.6.16」を聴く。 帰っ…

隔離日常

気持ちを奮い起こして「どうにかしよう」と動き出したその日、午後になって熱が上がって、気負いすぎて風邪をひいたかと思ったら、インフルエンザB型だとわかる。 タミフルをもらって帰るが、これが、効かない。調べてみると、B型にはリレンザなんだとか。 5…

春よ来い

お正月と云えば 炬燵を囲んで お雑煮を食べながら 歌留多をしていたものです 今年は一人ぼっちで 年を迎えたんです 除夜の鐘が寂しすぎ 耳を押さえてました 家さえ飛び出なければ 今頃皆揃って お芽出度うが云えたのに 何処で間違えたのか だけど全てを賭け…

猪瀬直樹のこと―青春譜

まったく、と言っていいほど、政治のことはわかりませんが、猪瀬直樹がたいへんらしい。 猪瀬直樹の書いた本は、中学生だったか、高校生だったか、けっこう、真剣に読んだ。おもしろかった。『ミカドの肖像』とか『土地の神話』とか。 好きだったのは、『マ…

磯崎憲一郎『赤の他人の瓜二つ』

夕飯、これ、つくる。「豚肉とキャベツのミルフィーユ鍋」。 http://cookpad.com/recipe/729015 ただし分量は、豚肉は330g、キャベツは大玉を半分、長ネギ1.5本。材料を入れて煮るだけ。味付けもなし。とりわけて、食べるときに、胡麻ダレか、ポン酢か、柚子…

山本直樹『YOUNG&FINE』

この本、どうやって買ったのか、おぼえていないが、1992年が初版で、僕の持っているのは第3刷なのだけれど、やはり1992年だから、僕が15歳のときだろうかと思うのだけれど、15歳というと中学3年生だからそれは違っていて、山本直樹の本をはじめて買ったのは…

トロン

NHKの「プロフェッショナル」という番組、藤子・F・不二雄先生の回を再放送で観る。先日、藤子・F・不二雄ミュージアムに行ったのだけれど、書斎の本棚がきちんと見られなくて、何のための展示だか、と思った。よほど目玉ものの展示でもないかぎり、もういち…

クララサーカス「Klara Circus LIVE 1985-1991」(おおざっぱに、1988年を思う)

ここんところ、部屋でも車でも、ずっとクララサーカスばかり聴いている。 クララサーカスのCDとDVDは、ほとんどが87年から91年のライブ収録。クララサーカスの彼女たちは、髪を短く切ったり、襟の大きな衣装を着て、僕が10年後にも20年後にも書けないような…

B.Z.ゴールドバーグ他「プロミス」

夕方から、池袋へ。B.Z.ゴールドバーグ(他)監督「プロミス」観る。2001年の映画。 イスラエルに住むユダヤ人の双子の少年が、パレスチナ人の少年に会いにパレスチナ自治区を訪れるドキュメンタリー映画と書けば、嘘ではないのだけれど、何も説明していない…

宮崎駿「風立ちぬ」

家族で、話題作、「風立ちぬ」を観てきた。 2日前まで奥さんの郷里に帰省していて、義理の母が「おもしろかった」と言っていたのは「風立ちぬ」ではなくて、百田尚樹『永遠の0』で、「貸してあげる」と言われたのだけれど、滞在のあいだにすらすらと読んで…

山口果林『安部公房とわたし』(ちゃちゃっと読みました)

真知の公房に対する絶対の尊敬は、かげりを見せた。こうしたことがふたりの関係に変化をもらたらし、結局、公房は最後の数年、芦ノ湖を見下ろす国立公園内にある山荘にひとりこもって暮らすようになった。 安部ねり『安部公房伝』(新潮社、2011) 山口果林…

山口果林『安部公房とわたし』(届いただけ。まだ読んでない)

ミズカネ 「えー、できてるの? 嘘? 絶対に? 賭けてもいい? あたし、そういうのに疎いの、全然気づかなかった」と言いたがる女がいる。そういう女ほど、ほんとは疎くない。いつも誰と誰ができてる、そんなことばかり考えている。俺がそんな「タイプの女」…

黒沢清「ドッペルゲンガー」

黒沢清「ドッペルゲンガー」を観る。ぽすれんで借りたやつ。これ、以前にも観ている。「CURE」と「カリスマ」は、フランスにいるときに観ていて、それが黒沢清作品との出会いかというとそうではなくて、大学1年生のときに「神田川淫乱戦争」を観ている(周防…

細田守「サマーウォーズ」

ぽすれんでレンタルした、細田守監督「サマーウォーズ」、観る。 「おおかみこどもの雨と雪」でも思ったのだけれど、拒絶とまではいわないが、壁ひとつ隔てたところにある世界観で、とりわけ、シーンの随所にみられる、いわゆる「オタク文化」的なものには、…

トム・フーパー監督「レ・ミゼラブル」

ぽすれんで借りていた、トム・フーパー監督の「レ・ミゼラブル」を観る。キャメロン・マッキントッシュ製作のミュージカル舞台の映画化。ミュージカルだからか、英語がやけに聞き取りやすい。フランスが舞台の物語が堂々と英語で演じられることに違和感をお…

渡邊十絲子『今を生きるための現代詩』

渡邊十絲子『今を生きるための現代詩』(講談社現代新書)は、おもしろい。詩を読む人、詩を書く人、読まれたし。 僕がいつも考えていることがあって、それは、どうして歌には、詩(詞)がついているのだろうか。 父親が「かぐや姫」の「22才の別れ」を聴き…

「ゾンビ道場」のこと

83年生まれのイラストレーター、Tokin(トキン)さんに送ってもらったフリーペーパー「ゾンビ道場」の最新号とバックナンバーを読む。仕事を終えた、午前2時。 双極性障害と、解離性障害をもった、イラストレーターの女の子の、手書きによるフリーペーパー。…

オタール・イオセリアーニ「汽車はふたたび故郷へ(Chantrapas)」

イオセリアーニは「素敵な歌と舟はゆく」が大好きなんだけれど、今回の「汽車はふたたび故郷へ」も、同じ雰囲気を醸している。 イオセリアーニは、グルジア出身の映画監督。 「彼の作品は旧ソ連下で公開禁止であったため、1979年にフランスに移住。1982年よ…

今井正「望楼の決死隊」

監督 今井正 脚本 山形雄策、八木敬一郎 キャスト 高田稔、原節子 齊藤英雄、菅井一郎、清水将夫、鳥羽陽之助...他 あの今井正が? というほどの、西部劇さながらのアクション映画。 国策色はあるが、それよりも警察官の人情が前面に描かれている。 現地ロケ…

誰のためのぽすれんだ!

昨日は、いちばん下の弟が遊びに来て、BAROLO(バローロ)というイタリアワインを開ける。空ける。 親父が亡くなったときに、友人のカジノさんがお供えしてくれた品で、ずっとお供えされているのもワインに悪かろうと、栓を抜いた。 安いワインと括っていた…

It's Complicated「恋するベーカリー 〜別れた夫と恋愛する場合〜」

「ぽすれん」でDVDをレンタルして、1ヶ月以上放置していたのを、ようやく観た「恋するベーカリー」(延滞料金がかからないのが、いいのか、悪いのか)。 原題の「It's Complicated」、日本語副題の「別れた夫と恋愛する場合」が示すとおり、中年を少し過ぎた…

タケカワユキヒデ「じょうじなまはげの唄」

これは、知らなかった。 仕事で煮詰まっていた23時過ぎに、知人がリンクを送ってきた、タケカワユキヒデ「じょうじなまはげの唄」。 「じょうじなまはげ」は、イワモトケンチのクレイアニメーションで、短編映画らしい。「1998年12月23日、株式会社テレビ東…

早川義夫+佐久間正英ライブ@黄金町試聴室その2

2月24日(日)、早川義夫のライブ。黄金町の試聴室。 僕にとって、初の、早川義夫。サングラスじゃなくて、丸眼鏡だった。 小さな声で、「ねとっ」とうたうのかと思っていたら、真逆だった。声は大きくて、太くて力強い。低音が気持ちいい。びっくりした。 1…

『ともにある  神田橋條治 由布院・緩和ケアの集い』(木星舎)

食道がんを患った64歳の父が、横須賀共済病院で、抗がん剤治療を受けたものの効果がみられず、これ以上、この治療病棟でできることはないと言われて、肺炎を起こしていたため、そっこく追い出されるようなことはなかったのだけれど、往診の折には「はやいと…